餅飯殿(もちいどの)センター街は、洋服屋を中心に食べ物屋などが並ぶ、屋根つきの商店街。地元の人向けな感じですが、食事処さがしや、奈良町歩きの行き帰りに通ってみるのも楽しそうです。お店探しや散策の豆知識として、どんなところかご紹介。
よそ者にも利用価値ある「地元の商店街」
餅飯殿センター街は、近鉄奈良駅から南にのびる東向通りをぬけて、三条通りを渡ったところから始まります。東向通りと同じく、屋根つきで歩行者天国。歩いている人は多少少なめな感じですが、道幅がさらに狭いのでちょっと窮屈です。
餅飯殿センター街は、地元の人向けのお店が目立つのが特徴。要するに、地方都市の普通のアーケード街です。洋服屋がやけに多いほか、宝飾品の店、雑貨屋、古本屋、スーパーなどが並んでいます。
だからといって、よそ者には無縁のところかというと、そうでもありません。ちょっとした喫茶店や居酒屋、名物を売っている和菓子屋なども、ところどころにあります。観光客向けでないからこそ、隠れ家的な穴場の食事処が見つかったりするかもしれません。奈良最大の祭りの1つ、春日若宮おん祭に使われる「大宿所」もあって、伝統行事にも一役買っています。
奈良町歩きのルートとしても
餅飯殿センター街を通りぬけてまっすぐ行くと、奈良町のおもむきある町並みに続きます。餅飯殿センター街自体は、観光ルートからは外れている感じですが、一応、奈良町歩きのアクセスルートの1つです。駅方面からの「行き」に別の道を歩いたら、帰りは餅飯殿センター街を歩いてみれば、変化のある町歩きができそうです。
「餅飯殿」という難しい名前が、いかにも古都らしいですね。由来には諸説あるようですが、その昔、東大寺のお坊さんが大蛇退治に出かけたとき、このあたりの若者が、たくさんの餅や飯を持ってお供についていって、大蛇の被害を受けた人たちに配って歩いたんだとか。その功績をたたえて、お坊さんから「餅飯の殿」の称号をあたえられたのが由来と言われています。
歴史ある難しい名前を持ちながら、地元の人に愛されている「普段着の街」、餅飯殿センター街。穴場の店探しに、町歩きのルートに、観光都市奈良の「素顔」を見に、ふらっと通ってみたい繁華街です。