東大寺は、奈良いちばんの名所「奈良の大仏」があるお寺。巨大な大仏と大仏殿はもちろん見ものですが、他にも見所はたくさんあります。東大寺観光に出かける前に、ひととおりチェック。
大仏と大仏殿
「奈良最大の名所」といえば、やっぱり大仏。国宝の仏像です。高さ14.7メートルで、同じく有名な鎌倉の大仏より大きいです。実際どのくらい大きいのかを実感するのは難しいですが、立てている手のひらの長さが2.56メートルあって、人の身長より大きい、というのが一つの目安になるでしょう。
大仏は正式には毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)といいます。世界の中心とか、世界そのもの、というような意味です。奈良時代に造られてから、2回戦火で焼けて、今の大仏は江戸時代に再建されたもの。奈良時代から残っている部分はほとんどないですが、台座の蓮弁(ハスの花びら)に残っているので、忘れずに観察しましょう。
大仏が巨大なら、大仏殿もまた巨大。歴史ある建物の中では「世界最大の木造建築」といわれる、国宝の建物です。これも大仏と同じく戦火で2回焼失していて、江戸時代に再建されたもの。できた当時は、幅が今の1.5倍もあったとか。外から見ると2階建てのように見えますが、下側の屋根は「裳階(もこし)」という「ひさし」です。
南大門
参道を大仏のほうへまっすぐ行ったところに建っている、大きな門。大仏への「正門」といったところです。鎌倉時代に建てられたもので、これも国宝建築。どことなくエキゾチックな印象も受けますが、それもそのはず、当時の中国(宋)の建築様式を取り入れています。
門の両サイドには、有名な金剛力士像が立っています。これまた国宝。日本一有名な仁王さま、といってもいいでしょう。運慶・快慶など、当時のトップクラスの仏師が作ったもので、鎌倉時代に流行ったリアルな表現が見どころ。
鐘と鐘楼
大仏殿から東に階段を上がったところには、東大寺の鐘があります。奈良時代に大仏ができた当時からある貴重なもの。除夜の鐘で有名ですが、ふだんはつけません。東大寺にふさわしい巨大な鐘で、「奈良太郎」というニックネームもあります。
巨大な鐘をつるす鐘楼も、立派で迫力あります。鎌倉時代に建てられたもので国宝。自由に入れるので、入って真下から鐘を見上げてみてください。
二月堂
鐘のところからさらに東に登ったところにある、斜面からせり出した建物。毎年3月に行われる有名な行事「お水取り」の舞台です。お堂前の回廊は、東大寺最大の絶景スポット。東大寺の境内はもちろん、奈良市街や生駒の山並みを見わたせます。
周辺は、お水取り関係の建物があったり、奉納された石碑がいっぱいあったり、信仰の深さを感じられます。雰囲気のいい茶店もあるので、ひと休みするのもいいですね。
法華堂(三月堂)
二月堂の南側にある建物。東大寺でも数少ない、奈良時代から残っている貴重な建物です。東大寺ができる前にあったお寺の名残り、ともいわれています。奈良時代から残っている北側半分の「正堂」と、鎌倉時代にでき南半分の「礼堂」が、うまくつなぎ合わされてひとつの建物になっています。よく見ても、つなぎ目はほとんど分かりません。
中には、奈良時代の国宝仏像がいくつも安置されています。仏像が目あての人にとっては、東大寺でもいちばん充実した建物といえるでしょう。